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コラム
クリエイターは「めんどくさがり」な方が良い!?
2023年9月24日(日曜日)

「プログラマーは、めんどくさがりの方がいい」という意見を聞くことがあります。でもこれは、決してプログラマーに限った話ではありません。

他の分野のクリエイターにも当てはまる部分があると思いますので、今回は対象をクリエイター全般に広げて「めんどくさがりは本当に良いのか!?」を考えていきます。

「めんどくさがり」とは何者か

「めんどくさがりの方が良い」なんて言葉、普通ならなかなか聞く機会はありません。でもプログラミングの世界では昔から、「工夫によって作業の省力化を行なうこと」を評価・追求する傾向があり、「めんどくさがり」の見方が常識とはちょっと違うのです。

とはいえ、「プログラミング、めんどくさいな~。もういいや、ゲームやる!」みたいなのは、"めんどくさがり"とは違います。"ゲーマー"とでも呼べればまだいいのですが、実際にはただの"なにもしない人"としか言いようがありません。

そう、めんどくさがりは決して"やらない"わけではないのです。「めんどくさい!」と言ったり思ったりしつつも"やる"人こそが、求められる"めんどくさがり"と言って良いでしょう。

なんだか、めんどくさい話になってまいりました。

真の「めんどくさがり」を目指す

プログラミングの世界で言えば、嫌がられるのはプログラムのコードを"コピペ"して流用することです。そんなことを言われても「めんどくさいからコピペするのに、ダメなの?」と思うひとが多いかもしれません。

そこで、ゲームで3つのファイルを保存するプログラムを例に考えてみましょう。

この3つのファイルの内容はなんでもいいのですが、ここでは①主人公キャラクターの状態(強さや現在位置など)、②現在地の状態(周囲にいるNPCたちの位置など)、③ストーリーの進行状態だとします。

これらをファイルに保存するときには、それぞれ 1.ファイルを保存するのに必要なサイズを算出し、2.ドライブに空き容量があるか確認し、そして3.ファイルを書き込む、といった手順を踏む必要があります。

これをそのまま"ベタ"にプログラムすると、次のような処理になります。

①-1 "主人公"データのサイズ算出
①-2 ドライブの空き容量確認
①-3 ファイル書き込み

②-1 "現在地"データのサイズ算出
②-2 ドライブの空き容量確認
②-3 ファイル書き込み

③-1 "ストーリー"データのサイズ算出
③-2 ドライブの空き容量確認
③-3 ファイル書き込み

上記の例では3×3、9つの手順を踏むコードになっていますが、"①-2"、"②-2"、"②-2"と、"①-3"、"②-3"、"②-3"は同じ内容になっています。はじめに"主人公の処理を書き、あとは同内容の部分を「めんどくさい」からコピペしたものです。

でも、これは"真のめんどくさがり"の所業(!)ではありません。

なぜなら、"ドライブの空き容量確認+ファイル書き込み"というセットの処理は、3つのファイルだけでなく、"プレイ環境のカスタマイズ情報"を保存する場合など、さまざまな機会に繰り返し使うことになるからです。

プログラムの場合、こういった"繰り返し"使う処理はサブルーチンにまとめます。すると、次のようなコードになります。

サブルーチン[ファイル保存処理]作成
├データのサイズを算出
├ドライブの空き容量を確認
└ファイルを書き込む

① "主人公"データを渡して[ファイル保存処理]を実行
② "現在地"データを渡して[ファイル保存処理]を実行
③ "ストーリー"データを渡して[ファイル保存処理]を実行

一概に比較できるものではないのですが、9つあった手順が7つに減りました。でもここで大切に大切なことは"同じ処理をそのまま2回書いていないこと"です。

「サブルーチンを作るのがめんどくさい!」「やっぱりコピペが一番早い!」と思う方もいることでしょう。

では、もし"ドライブの空き容量確認"処理にバグがあったら? を考えてみましょう。

修正前の"ベタ"なコードでは、流用した3ヵ所すべてをそれぞれ直さなければいけなくなります。

しかも、コピペ先が分散していれば修正すべき同処理を探し出す手間も増えますし、もし10ヵ所も流用していれば見逃して直し損ねることもあるでしょう。そして、ファイル保存の前にエラーが出たり出なかったりするような「直したはずのバグがたまに出る」という厄介なプログラムになってしまいます。

これが本当の「めんどくさい」なのです。"挫折"の入口とも言えるでしょう。

プログラムに限らず多くのクリエイティブの分野では、あとになって「とてもめんどくさい」思いをしないために、あらかじめ「すこしめんどくさい」ことをしておくことが良いケースがあります。

小説やゲームシナリオなら"熱いセリフ"を早く書きたくなる衝動を抑えてキャラ設定を深めておく(日常のセリフとの整合性をとったり、逆に差異を強める)とか、イラストやドット絵を描くなら自分なりの頭身バランスの雛形(テンプレ)を用意しておく、といった具合いです。

ただし、流用したり、幅広く展開しないなら、そういった下地の部分に時間をかける必要はありません。

先にやるか、あとでやるか。あるいは、やらないか。「よりめんどくさくない道はどれか」を察知する感性を持つ人こそが「真のめんどくさがり」と呼べる人なのです。

とはいえ"気の持ちよう"程度ですぐに「真のめんどくさがり」になれるわけではありません。何度も「めんどくさい」思いを繰り返して身に染みてわかることもありますから、まずはやってみて、失敗や苦労の経験を次に活かしていくことが大切です。

(おしまい)

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