FF11の世界に降り立つ
『FINAL FANTASY XI』(FF11)は、今年(2022年)5月に運営開始から20年を迎えたMMORPG。モンスターデザインの良さには定評がある作品です。
そこで今回は、FF11の世界に"土地勘"のある筆者が、あらためてFF11のモンスターデザインを見つめなおしながら、モンスターデザインの参考になるポイントを探っていきます。
まずは、プレイヤーたちに人気のモンスターから見ていきましょう!
FF11の人気モンスター(たぶん)ベスト3
FF11年の20年間の歴史のなかで雑誌等による人気投票が行なわれてきたのですが、それらを総じてみると、プレイヤーに人気のあるFF11モンスターの1位は、「マンドラゴラ」です。
FF11ではグッズ化の定番となっているうえに、FF12やFF14にも登場したことでFFシリーズおなじみのモンスターとなりつつあります。大きな目と頭もさることながら、その動きがめちゃくちゃかわいい!
FF11のサービス開始当初はプレイヤー間で通称「カブ」と呼ばれていたのですが、人気を博した結果「マンドラ」と正しい名前をもとにして呼ばれるようになった珍しい経緯のあるモンスターです。
2位は(おそらく)、ゴブリン。
中身はたぶんシリーズ過去作のゴブリンと同じく"キモイ奴"なのですが、マスクやヘルムを被せたことでデザイン的に大成功したケース。これもグッズ化の定番で、FF14にもFF11と同じ姿で登場しています。
第3位は(おそらく)、カニ。
ただのカニと言うよりヤドカリとかヤシガニ的な要素を併せ持ち、丸っこいデザインに納めたセンスは秀逸です。攻殻機動隊の「タチコマ」に似ているとも。これもグッズ化の定番かつ、FF14にも登場しています。
人気の秘訣は?
やはりどれも、キモくなく、かわいい、丸いというのが人気の秘訣のようですね。いくらモンスターと言っても「強そう」「怖そう」はあまり求められていないのでしょうか?
なお、筆者がFF11で一番好きなモンスターは上記3種のどれでもなく……「イビルウェポン」というやつです。
怖い! キモイ!
ちなみにこのモンスターの本体は頭上に浮いている剣の方で、キモイ部分に当たるのは剣に操られている地霊だそうです。
好きなくせにキモイキモイと言って悪いのですが、このイビルウェポンさん(というか地霊)の出す声がひとが喋っているようで愛嬌があるのと、動きが必死感に溢れていてなんだかおかしいのが好きな理由です。なんだかんだでコミカルなうちに入るということですね。
シリーズ定番の天野喜孝デザイン
FF11のモンスターは独自デザインが多いのですが、FFシリーズおなじみのモンスターとして天野喜孝さんデザインの定番モンスターも登場します。
まずは、ボム。FF11では自爆してプレイヤーを即死させるレベルの凶悪モンスターですが、デザイン的には目が大きくてかわいく、そして丸いです。
次は、モルボル。FF11ではなぜか性別的に女の子扱いされています。長い触手に目がいきがちですが、実はこれもデザインの中心には丸さがあります。
プリンもいます。全身が顔ですし、これも目が大きく、丸めです。なぜかFF11では公式名で「フラン」と呼ばれます。フランス語"flan"は、カスタードプリンのことだそうです。へー。
最後に、クァール。FF11用語辞典によると、「A・E・ヴァン・ヴォークトのSF小説『宇宙船ビーグル号』に登場する、同名の生命体がモデルと思われる」とのこと。神話・伝承が由来ではないんですね。これは知りませんでした。
このほか定番中の定番「ベヒーモス」なども登場しますが、特にこのクァールなど天野喜孝デザインのモンスターはFF11のモンスターのなかではある意味で"例外的"なものになっています。次回は、そのあたりを掘り下げようと思います。
(つづく)